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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1018号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕三、附随処分

1 取調べた資料によれば、申立人は本件借地を昭和二六年九月、非堅固建物所有の目的で期間の定めなく賃借したものであること、契約当時権利金として六万円を差配人に支払つたこと(地主がこれを受領したかどうかは明らかでない。)賃料は昭和四二年一月分以降月一、〇〇〇円(3.3平方米あたり五〇円)に合意改訂され、現在この点については紛争を生じていないこと、現存建物は建築後約一八年を経過し、かなり老朽しており、かつ地盤沈下、下水道工事等の影響もあつて家屋の傾斜、壁コンクリート床の亀裂等を生じている状態であることが認められる。

2 そこでまず借地期間について考えるに、本件改築許可に伴い、借地法第七条の趣旨に鑑み改築後約二〇年を残すように、これを昭和六六年八月三一日までに変更することが相当である。

3 次に右借地期間の延長により相手方は不利益を受けると認められるので、これに対し申立人から相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。その額について、鑑定委員会は、本件借地の更地価格を平方米あたり四万六、〇〇〇円、建付減価五%、借地権価格を建付地価格の七〇%にあたる平方米あたり三万五九〇円と評定した上、本件借地附近における改築承諾に伴う金銭授受の例としては更地価格の七ないし一〇%、借地権価格の一〇ないし一五%のものが見受けられるので、平均的基準額としては本件について平方米あたり四、〇〇〇円(更地価格の約八、七%、借地権価格の約一三%)が考えられるが、本件借地契約の残存期間、支払われた権利金の額等の個別事情を考慮すると、右平均的基準額の約七〇%にあたる一八万五、〇〇〇円(平方米あたり約二、八〇〇円)が相当であるとしている。当裁判所は通常借地期間を二〇年延長するについて更地価格の五%程度の割合による金額を借地人から地主に対して支払わせることを相当と考えるが、本件においては前記のとおり借地期間について定めがないので残存期間は建物が朽廃しないかぎり昭和五六年八月末日頃までと認められるが、現存建物が前記のとおり老朽の程度が進み、早晩全面改築を必要とする状況にあることを考慮すると、前記借地期間の延長により、実質上約二〇年期間を延長する場合と同視すべき状況にあると認められるので、本件の財産上の給付額として前記鑑定委員会の意見による本件借地の更地価格の約五%にあたる一五万円を相当と認める。

4 賃料について鑑定委員会は本件改築許可に伴い、二〇%増額し、3.3平方米あたり月六〇円に改めることを相当としているが、本件においては賃料額について現在紛争はなく、かつ現在の額が近隣に比し特に不当とすべき程度であるとも認められないので、前記財産上の給付に加えてさらに附随の処分によつてこれを変更すべき必要はなく、この点については当事者間の合意に委ねれば足りるものと認める。 (白石悦穂)

現存建物および改築の内容

一、現存建物

木造瓦葺平家建店舗兼居宅、44.69平方米

二、改築の内容

右建物をとりこわし、新たに次の建物を新築する。

木造瓦葺店舗兼居宅、一、二階とも各37.91平方米

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